調律業務のモットー
私が調律する生活の Motto は4つです。
① 音楽を聴く
② 音楽的な歴史を知る
③ ピアニストを知る
④ 自分もピアノを演奏する
① ~ ③については、明るい・硬い・こもってる等のような感じ方を、口頭表現では音を説明し辛く、相互理解が難しいと思っていますので、お客様との会話の中で、お客様がどのような曲を弾かれるのか、どのようなピアニストを聴いていらっしゃるのかによって、お客様が考えていらっしゃる音色を探るためです。
例えば… CDやダウンロード、レコード等の音源から、どのピアニストが何年(いつ頃)に弾いた、あの曲のあのピアノの音…とすれば、イメージし易い〈音の共有感〉になると思っています。
④は調律する側が、自ら演奏しない限り、均整を臨む弾き心地や、お客様が望む弾き心地を探り、細やかな演奏上の感触を比較しないまま、詰めていく作業を進めることは難しいと考えているからです。また演奏上の視点から雑音等も含めて、見逃がすことの出来ないポイントを探るためでもあります。
調律に携わる人にとって、この4つのどれか一つが欠けても、それは不思議な感じがします。どの分野の仕事に於いても、確認業務はあると思っています。調べたり、経験による積み重ねで得られる概念であったり… その結果としての作業や仕上げになる… それが技術と呼ばれる商品の出来映えや事実だと思うからです。パイプオルガンやチェンバロの調律者は演奏される方も多いですが、ピアノの調律業種では、演奏に携わる人や音楽そのものに興味がない人も多いことは、私にとっては少々疑問です。例えば、管楽器リペアの人が作業を進める上で… 管楽器に関与する興味を持たないまま、全く吹かないで、どこに不具合が生じているのか判断出来るのでしょうか… また吹いて確認しないまま調整が完了したと言い放てるのでしょうか… それが出来るとしたら、神技としか言いようがありません。ピアノに於いても同様、ピアノ音楽やピアノ演奏に興味がないまま、何を理解するのでしょうか。お客様にとっての調律がお洒落だと感じて貰える迄には、熟知熟練を得たい志向に投資する時間と費用は生きてる限り終わることがないという思いと、仕事を間違えないように取り組むためにも、私にはこの4つは必要なこと・避けて回れないことだと思っています。
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